上質な眠りで満ち足りる、究極の癒し宿

花吹雪の日本の色棟に宿泊するとなぜか良く眠れる。ずっとそう感じていたのだが、不思議に思って、部屋について支配人に尋ねてみると、いろいろと頷ける発見があったのでご紹介したいと思う。



日本の色棟は敷地内の中心部にある宿泊棟。 日本人が昔から愛した4色と言われる、青、赤、紫、茶の名がついた4つの部屋がある。


今夜宿泊するのは「紫」



玄関の扉の色は羊の皮に貝で染めた貝紫のドアプレート
貝紫は、英語名をロイヤルパープルと言って、高貴な色として欧州でも位置づけられている色だそう。




室内も紫色があしらわれた部屋で、紫草で染めたものだと言う。壁は漆喰仕上げ、畳敷き。



紫草の根で染めた色は、「濃紫」(こいむらさき)と呼ばれ、日本古来の冠位十二階でも最高位の色として定められていて、高貴な色として尊ばれた。



部屋の設も素敵だ。正座が苦手な私は、非常に気に入っているコーナーでもある。実は、足の下に掘り炬燵ヒーターがあって、なんとも暖かいのだ。



紫草の根で染めた色は、根に近ければ近いほど堅牢度が高いと言われ、色が褪せにくいそうだ。濃厚で落ち着いた深い紫色は高級感や特別感を感じさせ、自然由来の紫色は独特の中間色で優しく、心を落ち着かせる効果もあるのだとか。



色だけではない。日本の色棟の部屋は、天井には和紙が貼られている。障子ももちろん和紙、襖も和紙であるから部屋に居て、障子を閉める夜には三方を和紙で囲まれることになる。実はこれがまた、抜群のリラックス効果をもたらす秘密。



和紙は室内の湿度が高ければ吸収し、乾燥しているときには水分を放出する。まるで呼吸しているようだ。自然に調湿された室内は快適で居心地がいい。 光を柔らかく通すため、部屋全体が穏やかな明るさに包まれる。



和紙の天井に組み入れた間接照明。和紙が光を柔らかく拡散させているのが分かる。照明を点けると、部屋全体が温かみのある雰囲気となり、天井に広がる光によって空間が広く感じられて開放感を覚えるのだ。気が付かないところにリラックスを与える演出がなされているわけだ。



和紙は音を吸収する特性があり、外部の音を和らげる効果があります。そのため、静かなお部屋で落ち着いて過ごすことができますし、心地よい安らぎを感じられます。鳥の囀りや木の葉の擦れる音など、自然の音だけがかすかに聞こえてくるのですね。と支配人。


障子を完全に閉じることなく、少し開けることも出来て、外の光や風を室内に取り入れることができるのも開放感に繋がっている。窓の外は深い森が続いているので、大きな窓を通して自然との一体感も感じられる。
部屋全体が自然素材でつくられているので、部屋にいるだけで心が和むような感覚を覚える。


なるほど、どうりで快適にすごせ、ぐっすりと眠れるわけだ。


日本の色棟からは、貸切風呂の鄙の湯、黒文字の湯も近く、便利な場所に位置していることもあってリクエスト。リピートが多いそうだ。



好きな色に、または、次は別の色など。と指定して泊まるのも楽しい。



森の中で過ごしているような各お部屋はこちらからご覧になれます。