7つの掛け流し温泉、全9つ貸切り風呂を楽しむ

予約なしで空いていれば24時間いつでも入れる貸切り風呂は魅力的だ。何しろ宿に滞在中いつでも、手ぶらで入ることができるのは花吹雪に宿泊した者だけが堪能できる贅沢ではないだろうか。


宿泊はわずか19室の客室に対して9つの温泉が敷地内にある。それぞれ嗜好が違い、露天だったり、内風呂だったり、半露天だったり。常連はきっと贔屓の湯があることだろう。いくつもの湯殿を楽しむ温泉の梯子「梯子湯」とでも名付けようか。



桜が観られる温泉なら鄙の湯、サンパヤテレケか。運が良ければメジロが桜の蜜を啄むところが湯船から観ることができる。サンパヤテレケこれはお風呂の名前。うさぎ棟にある半露天風呂で、「うさぎが謳った神謡」という意味だそう。



鄙の湯の様子を昼、夜、朝と堪能してみた。




チェックインして、まずは一風呂。日常から解放されて、まだ明るいうちに温泉に浸かる。それだけでなんとも贅沢な気分ではないか。じわっと染み込むような源泉の湯の温かさ。伊豆石の湯船で疲れ取りゆっくり温まる。




部屋で一休み。竹藪の中には鳥たちが暖をとっているのか、隠れているのか。時折飛び出してはまた、どこかから飛んできて藪の中にダイビングするように潜っていく。カサカサ、ザワザワ・・・。どうやら大所帯のようだ。



拍子木の音が聞こえてくると夕方6時。カチーン、カチーンと森に響き渡る。
夕食の後、敷地内で夜桜見物しながら湯殿の空き具合を見て、電灯に明かりが灯っていれば使用中。消えていれば空いている。このように予約なしでふらりと入ることができる貸切風呂なのだ。



ライトアップされた鄙の湯はちょっと幻想的な雰囲気もする。森の高いところで風が木の葉を揺らしている。風の音がヒュー、ヒューっと聞こえてくるが、大きな森の木々に守られているように佇む花吹雪の露天風呂は頬を撫でるほどの微風が心地よく、静かだ。



湯船の底と側面に使われている伊豆石は遠赤外線放射率が高く、体の芯から温まって湯冷めしにくいのだそうだ。今夜もぐっすりと眠れそうだ。



朝日と鳥の声で目覚める。鄙の湯での朝風呂は、木々の合間から差し込む木漏れ日がキラキラと眩しい。冬の朝、ひんやりとした、それでいて優しく落ち着いた空気が胸いっぱいに入ってくる。幸せを感じるひとときだ。


滞在中、朝日、昼、夜と表情が違う鄙の湯。湯殿の梯子湯もよし、また贔屓の湯を見つけて朝夕楽しむもよし。温泉道楽の極みを楽しもう。


貸切温泉


日帰りでの利用も可能