天城の山に自生しているきのこは旬が短く、お目にかかれるのはほんの一時。特に今年は記録的な夏の猛暑で山の自然にも異変が。天然キノコは収穫量が例年を大幅に下回っているという。
昨年、この時期に訪れた時には、天然きのこのご飯、「おこわ」に出会えた。天然きのこの中には人工栽培が不可能なものもあり、お目にかかれるだけでもラッキーだ。 今回は煮物での登場。秋の新メニューとのこと。
キノコの下には里芋の揚げ煮。出汁の効いたあんかけにしてある。天然キノコの歯応えと香り。新メニューは秋の逸品となりそうだ。
新鮮な天然キノコは香りも独特で個性的だ。
少し滑りがあり、傘はコリコリとした食感がする。沢筋の湿っているところの倒木などに群生するという。キノコ狩りなどでは定番の天然キノコだそうだ。
山のフカヒレと呼ばれる。半円形のヘラ型のきのこ。調理すると柔らかく、とろっとした食感がフカヒレに似ていてそう呼ばれる。
天然のふっくらしたなめこは、つるっとしたその食感とあいまって人気のキノコだろう。山奥のブナ林で採集できるそう。
この日の先付けは地物烏賊と丸十の素味噌焼き
秋らしい暖かい先付け。烏賊の歯応えと薩摩芋の甘味、香ばしく焼き目の付いた味噌焼きに胡麻の香り。今日はおすすめの地酒、初亀の特別純米を頂く。
八寸:炙り酢〆かますの棒寿司、胡麻麩と隠元豆の胡麻酢和え、静岡鶏の松風、栗の渋皮煮とクリームチーズ、いが栗盛り、柿と菊花の白和え
御造:かんぱち、真鯛の湯引き、金目鯛
焼物:静岡牛「葵」の味噌幽庵焼き
紅葉した柿の葉は表情豊か。盛り付けられた静岡牛と松茸。
御飯、留椀、香の物
栗がゴロゴロと入った栗おこわは正に今が旬。南瓜の擦り流し。
秋の献立には、夏野菜に比べてこっくりと味の深まった野菜や山からの贈り物、天然キノコ、そして地魚は産卵を前に脂が乗ってくるものが多く、どれも料理長のセンスが際立つものばかり。晩秋、冬へと季節が向かう中で新メニューも楽しみな夕餉でありました。