今年も猛暑がやってきた。日本上空は記録的な暖気に覆われ、全国でも最高気温を記録するのは海のない内陸地域が多かった。ところが今年は静岡県静岡市が全国一の気温を記録。市内の風向きが大きく影響したのが理由だそうだ。
伊豆高原は豊かな国有林が暑さを和らげてくれる。天然のエアコンである。
暑い夏、海に近いところほど冷たい海風が吹いて涼しいのが常。
伊豆高原の和風オーベルジュ花吹雪では、暑さと喧騒を逃れ、湯上がりに浴衣を着て緑陰の中をそぞろ歩き。木々の合間を吹き抜ける風が本当に心地よい。森は灼熱の太陽の光を受けて、それを涼風に変えて届けてくれるのだ。
最近は海外からの泊まり客が多いように思う。
海外からの旅行者にとって日本の魅力は、伝統的な文化の香りと地元食材を使った日本料理。そしてなんと言ってもおもてなしの心が他国では味わえない日本独特の良さであろう。花吹雪はその全てを兼ね備えているのではないだろうか。そんなことを思いながら今宵も美味しい地酒と料理長のお料理を頂くことにしよう。
冷やした地酒が喉を潤し、これから始まる夕餉を一層引き立ててくれる
今日の地酒
先付:甘唐のムース
涼やかな先付けは、甘唐のムース。椎茸出汁の旨みと香りをジュレにしてある。無花果の甘さが広がってくる。
八寸:静岡鰻の朴葉寿司、蛤と白瓜の黄身酢掛け、白ずいきの水晶寄せ、合鴨の有馬山椒煮、鮑の味噌炊き、丸十の蜜煮
一品ずつ楽しみな八寸。見た目、口当たり、どちらも清涼で爽やか。身体に籠った熱を冷ましてくれる。
御造:金目の焼霜造り、ぽん酢寄せ、鰆と太刀魚
近海の魚は地酒と相性がいい。
煮物:鱸と茄子のオランダ煮
オランダ煮とは洒落た名前。洋風煮の事を言うのだそう。
江戸時代に長崎の出島でオランダとの貿易があった。その際に西洋風の料理法として日本全国へ広まったとされる。
どんな料理法なのか、ご興味のある方は調べて見られるといいと思う。コクのある日本の伝統料理。
焼物:天城の山葵田で育ったあまごの炭火焼き
竹串で刺しておどり焼きに。最後にその竹串で燻してあるそう。給仕された時には、天魚は葉の下に隠れるように盛り付けされていて、沢に住む天魚の姿に見せていた。山葵味噌で。
御飯・留椀・香の物
静岡牛「葵」の炊き込み、暑い季節にいただく冷製呉汁。
食事の後は夕涼みをしながらお風呂巡り。敷地内9つの嗜好の違った温泉を楽しめるのも花吹雪ならではの楽しみ方。
花吹雪の貸切温泉