冷たい空気が冬を運んでくる立冬。富士山の初冠雪は昨年より3日遅く、一昨年より5日遅いと言うから静岡県は立冬を過ぎてもまだまだ秋という感じだ。海を見下ろす伊豆高原は冬さえも暖かいので庭の茶梅が咲いたり、イルミネーションを見かけたりするとそろそろ季節は冬だなと思う。
花吹雪の献立も11月に入るとぐっと深まる秋を感じる。その土地の季節を味わうのも旅の重要なポイントであり、楽しみでもある。花吹雪の秋の献立に舌鼓を打ちながら明日の予定を考えるとしよう。
先付:胡麻味噌焼き 伊東産あおり烏賊、雲子、丸十、蕪
なめらかな食感とこっくりとした海の香り。おすすめの日本酒と一緒に。
八寸:占地と星葡萄と松の実の白和え、酢〆かますの炙り棒寿司、静岡鶏の松風、むかご、いちょう丸十、伊豆沖でとれた本海老の老酒漬け、次もの白鯖ふぐの唐揚げ、獅子唐
脂が乗った秋かますを焼き霜造りにした棒寿司。皮の香ばしさと旨味が絶妙。
ふっくらと柔らかい地魚、白鯖ふぐの唐揚げ。日本一深い駿河湾の水深200m~400mの深海に生息するという「本海老」。甘味と旨味が口に広がる。
御造:金目の焼き霜造り、石垣鯛、平政
秋も深まると魚は身に脂が乗って来て、地魚はどれも美味しい。
蓋物:契約農家直送 里芋の揚げ饅頭、銀杏入り、鱶鰭の姿煮のせ、芽蕪、金時人参、松葉柚子
私が個人的に「名物」だと言っている、里芋の揚げ饅頭鱶鰭の姿煮のせ。楽しみな一皿。
中猪口:洋梨と天城山葵のソルベ
フルーツの甘さの後のピリッとした感覚と風味がなんとも言えない大人のソルベ。
焼物:秋鰆の自家製塩麹漬け 竹皮包み焼き、焼ききのこと柚子の太白胡麻油和え、干し無花果のラム酒煮
鰆は時の如く、春が旬かと思いきや秋からは2度目の旬を迎え「秋鰆」と呼ばれる。実は秋の方がふっくらとして美味しいのだとか。これから冬にかけては「寒鰆」と言い脂が乗ってさらに美味しいそう。
御飯:栗おこわ 留椀:百合根真薯の清汁仕立て 香の物:胡瓜の黒文字漬け、蕪の甘酢漬け、汐吹昆布
秋を感じる、栗おこわ。もちもちとした食感がいい。
料理屋菓子:林檎のコンポートとマスカット 林檎ゼリー掛け
明日の天気も良さそうなので、地元の人たちがよく遊びに行くと言う「小室山」へ行ってみることにしよう。
15,000年前の火山の噴火時に溶岩のしぶきが降り積もってできた小室山。リフトで山頂まで登れる。標高は321mで大室山と違って徒歩でも登ることができる。およそ30分。
大室山に比べて小さいスコリア丘だが、海に近いだけあって、山頂からの360度の展望は絶景。
ボードウォークで山頂を一周できるようになっている。海に近いせいか、本当に素晴らしい景色で、海と空と自分自身が一体になった気持ちになれる。正面は相模灘、北には富士山が、南は房総半島、そして西は天城連山と360度見渡すことができる。眼下には、世界ゴルフ場100選に毎回選出される、名門、川奈ホテルのゴルフコースが見える。
2021年にオープンした「絶景カフェ321」は全席オーシャンビュー。カフェ利用者のためのプライベートウッドデッキでは海と空が広がる紺碧の世界へ。コーヒーもなかなか美味しい。
小室山へは伊東駅からバスで20分。だいたい1時間に2本が出ている。2023年の夏にレストランもリニューアルされて「KITCHEN218」となった。
麓の小室山公園には10万本のつつじが植えられており、花の名所となっている。4月には真っ赤なつつじが咲き誇り、それはそれは見事だというから是非訪れてみたい。
椿園もあり、1000種、4,000本が栽培されているそうでこれは見ごろが2月頃。
珍しい品種もあり、一輪挿しや生花での「つばき鑑賞会」も開催される。
暖かい伊豆は早咲きの河津桜や椿など冬の花見が楽しめる。