伊豆高原に滞在中、ショートトリップで楽しめるスポットとして大室山は気持ちが良くておすすめである。「単成火山」の典型、鉢形のスコリア丘で山全体が国の天然記念物に指定されている。伊豆東部火山群では最も大きなスコリア丘で頂上からは東伊豆地方の海まで一望できる。約4000年前に噴火してマグマが噴き上げられて飛散冷却した岩塊や火山弾が火口の周りに降り積もりできた噴石の丘で、木が1本もない。
大室山の噴火によって大量の溶岩が流れ出し、伊豆高原や荒々しい岩壁を形成した城ヶ崎海岸ができたという。
天然記念物のため徒歩では登れない。ゆっくりリフトでしながら登り降りする。標高は580m。山頂にはすり鉢状の噴火口があり、遊歩道でぐるっと「お鉢巡り」ができる。山頂から眺める景色は素晴らしい。お天気さえよければ富士山、箱根山々、初島、大島、伊豆高原、天城山の尾根。360度の眺望である。
山全体がカヤ(ススキ)におおわれていて木がないのは、約700年前から茅葺き屋根に使う良質のカヤを採取するために定期的に山全体を焼き上げる「山焼き」が行われているからである。この豪快な伝統行事は今も続き、毎年2月ごろ伊豆に春を告げる観光行事として賑わう。
大室山を後にして伊東市内に向かって車で15分。日本百景にも選定された「伊豆の瞳」一碧湖。湖面が光り輝き、空もと一体になって輝いている様子からその名がついたのだとか。一碧湖1周4キロ1時間の湖畔散策ができる。 湖畔には与謝野鉄幹・晶子の歌碑が建つ。二人は一碧湖を愛し、近くの山荘によく訪れたという。
当市近郊でも十分に初秋を楽しむことができた。富士箱根伊豆国立公園内にある伊豆高原・花吹雪の「森の園」にも秋の気配がする。
森の園を上がって行くと大室山が見える。山頂から見た伊豆高原は青い海へ続く美しい森に見えた。こちらから大室山を眺めると木々の合間からちょこっと緑の頭を覗かせている。「おうい。さっきはありがとう」と言ってみる。
秋野菜、地魚も日に日に深みを増して行く。地酒で楽しみたい季節のお料理である。
先付 嶺岡豆腐 江戸時代からの伝承料理。もっちりとした弾力のあるクリーム豆腐と言った感じで、和食の先付として、甘味としても美味しい一品。
八寸 すずきの南蛮漬け、炙り煮穴子の棒寿司、秋野菜の黄身酢掛け、里芋、茗荷、オクラ、ずわい蟹と柿のなます
煮物:静岡鰻の飛竜頭、菊花餡掛け
焼物:静岡牛「葵」の朴葉焼き、水茄子、栗、粟麩、針葱 酒の肴によく合う朴葉焼きは香りも良い。もともとは飛騨地方の郷土料理だそう。
御飯・留椀・香の物
料理屋菓子 自家製和三盆わらび餅
深まる秋を感じる宵闇に三日月と虫の声。自然と調和しながらの掛け流し露天風呂。日常を忘れ葉越しの月見を楽しむひととき。