初夏の和ハーブ、甘茶、紫蘇、夏茗荷、山椒

今年は早い梅雨入りと台風でちょっと番狂わせな今年の初夏となった。5月末から7月までとは長い雨季である。雨を楽しむ工夫も必要。桜の花が開いたような形の傘やおしゃれなレインブーツやポンチョなどをチョイスしてみるのもいい。



紫陽花と甘茶どうちがうの

梅雨時ならではの美しさ代表格は、雨に濡れた紫陽花だろう。いくつもの花が鞠のように集まって咲く大輪「ホンアジサイ」が一般的。線香花火のように外側に装飾花が咲いているガクアジサイ。これはアジサイの原種だそう。どちらも日本で昔から愛されている花で、上生菓子や浴衣のデザインなどにもアジサイは良く目にする花である。


関東以西の山間部に自生する「ヤマアジサイ」はホンアジサイに比べて葉が細い。アジサイは色も種類もさまざまで本当に見ていて飽きない。最近では西洋種の「カシワバアジサイ」や「アナベル」もガーデニングで人気だという。伊豆にも紫陽花の名所はいくつもあって開花期も長いので雨の日のお出かけにはアジサイのお花見をオススメしたい。



あじさい



ガクアジサイ


ガクアジサイと見分けが付かないのが「甘茶」。ヤマアジサイの甘味変種だそう。うさぎの森は、この甘茶が見ごろになる。一般的にアジサイは食用にならないが、「甘茶」はその名の通り、葉を乾燥させて煮出すと甘く、甘味は砂糖の1000倍ほど。また、抗アレルギー成分が含まれているとして健康茶としても飲用されている。一見そっくりな甘茶とガクアジサイの見分け方は、葉に光沢があるかないか。光沢がないのが甘茶なのだそう。



甘茶


チェックインの時に出してくれる、ウェルカムティ「森のお茶」には甘茶がブレンドされており、ほのかな甘さを感じることができる。黒文字やハーブのブレンドが奥深い味わいで旅の疲れを癒してくれる一杯だ。




掛け流しの湯に浸かり、雨の音を聞きながら過ごす宿は究極のリラクゼーション。どこか特別な時間のような気がする。雨を楽しむためにあるように森の中に佇む宿泊棟で、恵みの雨に感謝。雨音に紛れて拍子木を打つ音が聞こえてくる。




長七 今夜のお献立

倶楽部ハウスでいただく夕餉。繊細で奥深い会席料理はお勧めの日本酒と一緒に楽しみたい。



先付:甘唐と汲み湯葉の摺流し・干し椎茸出汁の水晶掛け
旬を迎えた甘唐の摺流し。独特の甘みと風味がしいい茸の出汁と相まって喉越しに涼しげな一品



八寸:静岡鰻と紫蘇の朴葉寿司・白ずいきの水晶寄せ・鮑の味噌炊き・新丸十の蜜煮・蛤と白瓜の黄身酢掛け・合鴨の有馬煮
紫蘇独特の風味が一層味わい深い鰻の朴葉寿司。すっきりとした香りが食欲をそそる。



御造:金目鯛の焼霜造り ぽん酢水晶・鰹・紋甲烏賊
金目鯛の皮を炙った焼き霜造りは旨味を堪能できる。



煮物:鶏ガラ煮込みの鱶鰭・丸茄子の揚げ煮
コクのあるスープで煮込んだ鱶鰭と揚げた丸茄子。



中猪口:青梅と天城山葵のグラニテ
さっぱりとした口直し。山葵の辛味が爽やか。



焼物:天城の山葵田で育ったあまごの炭火焼き
身に弾力があり、ほっくりとした美味しさ。皮目の香ばしさにお酒がすすむ。 葉の影に隠れるように泳ぐ姿の盛り付けは、清流の女王と呼ばれるアマゴの美しさを表現しているよう。



御飯・留椀・香の物:夏牛蒡と静岡牛「葵」の炊き込み・冷製呉汁・胡瓜の黒文字漬け・茗荷の甘酢漬け・汐吹昆布
牛蒡の良い香りがたつ炊き込み。静岡牛「葵」の旨味と相まってご飯が止まらない。



料理屋菓子:黒胡麻葛餅・西表黒糖の黒蜜・きな粉


花吹雪の東側、駐車場の隣の森に新しい宿泊棟とお風呂ができると聞いた。来年の1月か2月ごろ完成予定だという。こんもりとした林の中の宿泊棟はどんなだろうか。今から楽しみである。