全国的に記録に残るような寒い冬も、強い南風、春一番が吹き抜けて冬将軍を追いやってしまったのか、3月中旬の伊豆は20度を超える陽気に。
初夏を思わせるような天色の空に、淡い桜の花が映える。こんな日はスニーカーを履いて出かけてみたい。
相模湾に溶岩が流れ込み、複雑な地形となった城ヶ崎海岸。大海原を望む断崖絶壁の海岸沿いに遊歩道があり、ハイキングコースになっている。伊豆高原駅から富戸までの海岸線、全長3キロの「ピクニカルコース」と連着寺から八幡野港付近までの「自然研究路」の2つのルートがあり、全部歩くと6キロ3時間がフルバージョンなのだそう。健脚の方はぜひ、試してみて欲しい。
伊豆高原駅から対島川に沿った遊歩道を歩いて、八幡野港方面へ向かう「海と森の散歩道」は、花吹雪から往復1時間のプチトレッキングコース。海の吊り橋からの伊豆七島を一望する絶景。このコースは軽装で充分だが靴底は滑らないものをお勧めする。潮の香りを嗅ぎながら自然の造形美を堪能できる。
「ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデン」から、吊り橋までのピクニカルコースショートバージョン。片道20分強。荒々しい波が絶壁の岩場を打つ豪快な景色、180度の海原を見渡せる門脇埼灯台。
足元はゴツゴツとした溶岩なので十分気をつけて歩こう。門脇の吊り橋は高さ23m、長さ48m。ビルの7階に相当する高さだとのこと。まさに断崖にかかる海の橋、高いところが苦手な方は足がすくんでしまうかも。海にかかる橋は全国でも珍しく、有数の人気スポットになっているそう。
夏場のハイキングにおすすめしたいのが「林間コース」。木漏れ日の中を歩くなだらかな遊歩道は、足腰に自信のない方やペットを連れての散歩にも最適。森林浴を楽しみながら、しばし強烈な陽の光を回避できるホッとした片道10分のショートカットコース。生き返り、『自然散策コース』と合わせて楽しめますね。
「ピクニカルコース」や「自然研究路」へ行くまでの時間はないが、少し歩きたい。そんな時のために朝食前、八幡野町内を1周してみた。別荘街を垣間見ながら手入れされたお庭の花々に心も和むというもの。「ゆうゆうの里」の手前を山側に折れていく途中には野山の植物が季節を知らせてくれる。10分程度のお気軽な散歩に。
暑くも寒くもなく、爽やかな春の風に戦がれながらのハイキングでリフレッシュしたあとは、お待ちかね、花吹雪の春の献立「桜おこわのコース」。
先付:赤貝と春野菜の木の芽酢掛け
独活、こごみ、空豆、筍
八寸:地元で採れた野生蕗の薹と筍の姫皮の白和え
地物黒鯛の昆布〆小袖寿司
天城花山葵の三杯酢
鮑の味噌炊き
真蛸の旨煮
たらの芽の酢味噌掛け
御造:金目鯛の桜葉〆、さわら、太刀魚
蓋物:穴子の飛龍頭、豌豆の摺流し、蓬麩、揚げ牛蒡
中猪口:八重桜と天城山葵のソルベ
焼物:静岡牛「あおい」の和製ロースト
百合根と菜花ペースト
行者にんにくオイル掛け
焼き筍、揚げ行者にんにく
ご飯:花吹雪名物 桜おこわ、海老、三ツ葉
お椀:清汁仕立て 焼き湯葉、神馬草
香の物:胡瓜の黒文字漬け、芽キャベツの粕漬け、汐吹昆布
伊豆特産の大島桜の葉で蒸しあげてあり、桜庭の香りがするこの時期だけの贅沢。
料理屋菓子:自家製 和三盆糖わらび餅
今夜も料理長の心のこもった一品一品が、じんと染み渡るような美味しさ。 お食事処の緑陰亭を出て、敷地内の花屋敷前の夜桜を楽しみながら貸切風呂に足が向くのでした。