早咲き桜の伊豆高原へ、ぶらりひとり旅

「ぶらりひとり旅」なんとも魅力的な響きではないか。自粛や制限のある生活が2年続く中で、「ひとり旅」を楽しむ人が増えていると聞く。誰に合わせることなく、気ままな自分時間で過ごす旅。今やひとり旅は寂しいものではなく、一人になれる大切なひとときになった。


気疲れしないおひとり様の旅

某旅行社のアンケートによると一人旅経験者は60%、男女の比率は半々。一人旅経験者の中心世代は男女とも50代。旅の目的はリフレッシュと趣味の満喫なのだそう。
行き先は、景色が良く温泉があって、食べ物が美味しいところという結果。



探してみると一人旅の本もずいぶん出ている。ガイドブックではなく「鉄道一人旅」とか「癒し旅」など楽しみ方を紹介したものが目に付く。ひとり旅はどうやら「旅のテーマ」を決めるのが楽しむコツのひとつのようだ。


旅のテーマを思い切って「ひとり脱IT旅」なんていうのもいいかもしれない。ワーケーションという働き方が話題になっている中ではあるけれど、あえての脱ITを計画してみるのはどうだろう。パソコンやタブレットと一日中にらめっこ。スマートホンはもはや一時も手放せないという日常に、眼も脳もココロも疲弊しているのでは。一切のIT機器から解放され、五感で自然を感じるプチ旅行。



「ひとりアート旅」なんていうのもいい。何かを創り出すことに没頭すると、無心になれると良く言われる。何もかもから解放されて創作物と向き合う時間。手仕事のぬくもり。いままで会ったことのない自分に出えるのかもしれない。芸術作品を見て歩くだけのひとり旅も魅力的ではないか。気になった作品の前でじっと感性を響き合わせてみる。誰にも邪魔されずに鑑賞する「ひとりアート旅」はセンスを磨くプチ旅行。かすかな春の息吹を感じたら、そんな「ひとり旅」を計画してみよう。



ふた足早い開花。薄紅色の一番花


けして暖かい冬ではないのに、今年は桜の開花が例年より早いそう。まだ1月半ばだというのに寒緋桜はもう満開に近いところもある。花吹雪の入り口の桜はまだ硬い蕾だけれど、敷地内の鄙の湯から見える河津桜、うさぎ棟・勘助うさぎの2階の小部屋から見える河津桜も蕾をほころばせている。日毎にひとつ、またひとつ優美な姿で春の訪れを告げる。



敷地内に7つある源泉掛け流しの温泉は全て貸切り。マスクなしのお風呂時間も安心してゆっくり過ごせる。長湯もひとり旅の醍醐味。4000坪の森に囲まれてココロも体も澄んだ空気に溶け込んでいくよう。 



早春の出会いもの。伊豆の地魚、天城の恵み

旬の食材を活かした献立、「長七」は、まるでオーケストラのようだといつも思う。同じ季節に美味しい食材の個性を活かして組み合わせ、創り上げた懐石膳。祝い酒「開運」と一緒にいただく。



先付:炙り帆立と摺りおろし林檎酢



八寸:菜の花の白和え 梅花人参、和三盆仕立ての栗きんとん、燻鮭の椿寿司、自家製唐墨 梅花大根、海老の松風、千社唐の西京漬け 黒豆



御造:金目鯛、ヒラマサ、ひらめ 伊豆山葵とよく合う



蓋物:契約農家直送里芋の饅頭 銀杏入り、鱶鰭春菊餡かけ 結び紅白 松葉柚子



中猪口:伊豆の苺「紅ほっぺ」と天城山葵のソルベ



焼物:近海寒鰆の味噌幽庵焼き 金柑、芹の黒胡麻和え、おろし



御飯:煮穴子の炊き込み、生姜、針大葉、
留椀:法蓮草の摺り流し 揚げ栗麩 黒胡椒
香の物:胡瓜の黒文字漬け、柚香大根、汐吹き昆布



料理屋菓子:自家製わらび餅


ちょっとそこまで。そんな気軽なひとり旅。ひとつひとつのシーンが心に残る、思い入れ深いひとり旅。大切な人がもっと大切に思える、旅がくれた宝物。