各地で紅葉のニュースが聞かれ、燃えるような赤いモミジ、黄金に輝く銀杏並木の映像がYouTubeやInstagramなどSNSのタイムラインを賑わしている。濃い緑から黄緑へ。黄色、橙色、そして燃えるような赤へのグラデーションがまるで織ジュータンのように美しい。近年は諸外国からも日本の紅葉の美しさの評価が高まっているという。
日本は、他国に比べて落葉広葉樹の種類が多いのが、紅葉が美しいと言われる理由の一つのようである。深まりゆく季節とともに、移りゆく木々の色あいは変わっていく。その年の気候や湿度によって、同じ色合いにはならないことも一層その美しさを引き立てているのかもしれない。
今年の紅葉は1週間から2週間程度遅れているとか。 伊豆高原は冬も暖かいことから、紅葉はゆるやかに進んでいく。12月の中旬以降でもまだまだ紅葉狩りが楽しめるので、これから計画しても間に合いそう。小さな秋を探してみてはいかが。
花吹雪の玄関では山吹色の石蕗の花がお出迎え。ツヤツヤとした葉が名前の由来。初冬を感じる多年草で、季語としても用いられる。
「コツン」「パチン」と屋根を打つ音。うさぎの森に住むリスの悪戯?それとも野鳥か。 「今年は木の実の成り年ですよ」と支配人。倶楽部ハウスの屋根をたたく「どんぐり」の音。そういえば、エントランスにも小道も歩くとプチプチと音を立てるほどにたくさん落ちていた。
普段なら目に入らないような小さな秋。時の流れもゆっくりだからこそ、気づく伊豆高原の晩秋。
リスが巣作りをしている。子犬が鳴くような声で威嚇する。運が良ければ、橋の手すりを駆け抜ける様子を身近に見ることができるかも。
黒文字の林も秋の訪れ。足音を立てないようにそっと、そっと近づいているよう。「もういいかい。まあだだよ」
抜けるような青空はきっと、コバルト色した伊東の海が鏡に写っている様のなのかも。木漏れ日と陽に透ける赤や黄色の葉。思い切り深呼吸をしよう。
農作物に恵まれる季節、料理長の腕がなる。山からの贈り物と海のごちそうをふんだんに使った今日の献立。
先付:胡麻味噌焼き
八寸:胡麻麩と黄菊の胡麻酢和え、炙り〆かますの棒寿司、鮑の味噌炊き、静岡県産美味鶏の松風、伊豆産本海老の老酒漬け、長芋、いちょう丸十
お造:金目鯛、カンパチ、タカベ
蓋物:契約農家直送里芋の饅頭 銀杏入り、鱶鰭の姿煮、芽蕪、にんじん、松葉柚子
中猪口:洋梨と山葵のソルベ
焼物:静岡牛「葵」の炭火焼き藁の燻製仕立て、揚げ針牛蒡、菊花、焼目百合根茶巾、ザクロ、特製たれ
御飯:三種の天然きのこおこわ、軸三ツ葉
留椀:契約農家直送馬鈴薯の摺り流し、揚げ海老真薯、粉山椒
香の物:胡瓜の黒文字漬け、エリンギの粕漬け、汐吹昆布
料理屋菓子:柿のクリームチーズのせ、梨の水晶寄せ
料理長が勧めてくれた希少酒、新政のNo6の爽やかでフルーティなお酒も相まって、今宵もすっかりほろ酔い気分。冴え藁たる月夜の掛け流し。湯加減でも季節の変わりゆく様を味わえる。