旅先で出会う存在感のある器たち

自宅で過ごす「おうち時間」が増えると、好きなものに囲まれて暮らしたいと思う。 器ひとつで、日常の食卓も、ぐんと楽しくなるというもの。 三度の食事を楽しむアイテムとして欠かせない器。旅先では時に器との新鮮な出会いがある。


織部焼

桃山時代に岐阜県土岐市で始まり、美濃地方で生産された陶器。 釉薬の色などにより様々だが、緑色の青織部が有名。



織部こま筋たわみ小鉢(中垣連次 作)


岐阜県土岐市に窯を持つ中垣連次さんの作品。手に収まる小鉢は、やわらかなフォルム。御新香を盛ったり、汁物の取鉢にもよさそう。



重ね松取り皿(加藤芳平 作)


従来の美濃焼にはあまり見られない優しい色合いの器。どんな料理を乗せても映える取皿は「毎日使って欲しい」という作家の想いが感じられる一枚。


有田焼

佐賀県有田地方周辺で生産される磁器。江戸時代には積み出し港の名で「伊万里焼」とも言われた。世界的な骨董品「古伊万里」として収集家を魅了する。


軽くて硬質なため耐久性に優れた食器。輸出先のヨーロッパ貴族に「白い金」と言われたほどの美しい白色が特徴。



角皿


伝統的な染付が美しい福泉窯の器。3列に描かれた唐草模様がそれぞれに美しい。側面まで描きこまれている。メイン料理のお皿として、手まり寿司など飾るのも素敵。


ガラスの器と合わせてテーブルコーディネイトも楽しめそう。



牡丹万歴 三つ足多用鉢


大胆な牡丹の絵柄と中国万歴時代に作られた陶磁器の図柄が描かれ、三つ足が可愛らしい。煮物、お刺身など使い勝手が良く、重宝しそうな器。


洋食器に比べて和食器は、形も大きさも様々。盛り付ける料理を想像しながら選ぶのも器選びの楽しみのひとつ。四季の食材を活かした和食の繊細な味を引き立てる器。器との出会いは、手料理への意気込みをぐんと押し上げてくれるのではないかと思う旅先でのひととき。


新緑のお献立


さて、掛け流しの湯で疲れを癒して、離れ宿で一息つく。拍子木の音とともに暮れ行く静かなうさぎの森。



新緑の季節、野菜や山菜そして海の幸も美味しさを増している。楽しみな夕餉。爽やかなハーブの香りのオリジナルカクテルでお料理を待つ。



先付:煮蛤、コゴミ、筍の湯葉掛け。涼しげな春の香りの一品。



八寸:金目鯛の昆布締め粽寿司、鯛子寄せ、静岡県産うなぎの八幡巻き、伊豆沖の目光南蛮漬け、鮑の味噌炊き、空豆の艶煮



御造:黒むつ、赤貝、みる貝、初鰹土佐造り



煮物:天城黒豚の角煮



中猪口:天城「アメーラ」トマトと天城山葵のソルベ



焼物:伊豆沖揚がり「あぶらぼうず」の西京焼き



御飯:天城の山葵田で育った紅姫あまごの炊き込み



料理屋菓子:自家製黒胡麻葛餅


伊豆、天城を一巡りするような献立は一品一品手をかけて料理されたのが分かる。山菜の香りが爽やかなコースはお酒も進む。



明日は朝早く起きて自然散策でもしてみようか。